更新日:2018.11.21

©UNICEF Madagascar/2017

水は、「子ども時代」。

学校に通ったり、友達と遊んだり。子どもには、子どもらしく過ごす時間が必要です。しかし、家の近くで清潔で安全な飲み水が手に入らない時、多くの開発途上国で水汲みは子どもの仕事です。世界の約3人にひとりが安全に管理された飲み水を手に入れることができない中で、サハラ以南のアフリカ諸国だけでも、330万人を超える子どもたちが水の重さに耐えながら、毎日遠い道のりを歩いています。
子どもたちは、水を手に入れることと引き換えに、子どもらしく過ごす時間を失っています。子どもたちの日々は水汲みを中心に回り、「子ども時代」はその間に過ぎ去ってしまうのです。

安全に管理された飲み水:必要な時に、自宅で使用できる、汚染されていない飲み水があること。

マダガスカルにおける取り組みと成果

ユニセフは、100カ国以上で水と衛生分野における支援を行っていますが、中でも、TAP PROJECT JAPANで支援してきたマダガスカルは、特に水と衛生における状況が悪い国です。これまでに、日本ユニセフ協会「マダガスカル 水と衛生募金」に加え、多くの方々からTAP PROJECT JAPANを通じた募金にご協力をお寄せいただきました。マダガスカルは水利用の地域格差が大きく、改善された飲用水源を利用する人の比率は、プロジェクトが始まった当初農村部で29%(2008年)でしたが、最新の統計では34%(2015年)に改善しました。
一般からのオンラインなどを通じたご協力を含み、これまでのご支援によって、具体的には以下の成果が達成されています。

・47の小学校に、45カ所の井戸や給水施設、142基のトイレを設置
・飲料水用浄水フィルターの配布などを通じて、子どもたちと周辺住民に衛生習慣を普及
・コミュニティ用簡易水道設備を3基設置
・2万4,782人以上の子どもたちとその周辺の地域住民が、清潔で安全な水を使用可能に

©日本ユニセフ協会/2010/satomi matsui

井戸で水汲みをする子どもたち
(2010年、Taratasy Tanibe 小学校)

©日本ユニセフ協会/2010/satomi matsui

プロジェクトの支援で作られたトイレ
(2010年、Tanimena小学校)

©UNICEF Madagascar/2017

村のすべての給水所に水を送っているタンク。
(2017年、Marokibo村)

©UNICEF Madagascar/2018

かつては、畑の近くにある地表水を汲みに行っていたクラリスさん。今は、蛇口をひねれば水が手に入るようになりました。
(2018年、Marokibo村)

マダガスカル 水の使用状況の改善

2015年、ミレニアム開発目標(MDGs)が達成期限を迎え、新たな目標として、持続可能な開発目標(SDGs)が採択されました。「持続可能な開発目標(SDGs)」は、基本的な水と衛生(WASH)へのアクセスの向上に向かって、MDGsよりもさらに高い目標設定として「安全に管理された飲み水」「安全に管理された衛生施設(トイレ)」を掲げ、新たな指標を取り入れました。 マダガスカルにおいても、2000年から2016年までの間に水道を使用する割合が増え、地表水を飲む割合が都市部で6.7%、農村部で17.3%減るなど、都市部と農村部双方で水指標における改善が見られました。

WHO/UNICEF JMP( https://washdata.org/ )を元に作成

1.都市部における水の使用状況(マダガスカル)

2.農村部における水の使用状況(マダガスカル)

子どもたちの未来を変える力に

今年も全国のレストラン・カフェでは、お店で提供するお水やお茶に対してきれいな水を子どもたちに届けるための募金をお客さまに呼びかけていただきました。2018年、TAP PROJECT JAPANを通じて合計2,975,302円の募金が寄せられました(2018年10月31日時点)。

趣旨に賛同いただいた博報堂グループの有志メンバー、飲食店、企業のご協力のもと、これまで10年間にわたって「TAP PROJECT JAPAN」を実施することができました。支援先を東日本大震災として募金活動を行った2011年を除き、TAP PROJECT JAPANに賛同いただいた全国の飲食店やPROJECTに関連したイベント、オンライン上の取り組みなどを通じてマダガスカルに寄せられた水と衛生募金は、総額4,188万円以上にのぼっています(2018年10月31日時点)。

ご協力いただいた皆さまに、心より御礼申し上げます。

10年間の継続したご協力をいただいた皆さま

資金パートナー: 日本製粉株式会社 / 株式会社ロキテクノ
レストラン募金: ラ・ロシェル様

©日本ユニセフ協会/2013/satomi matsui

©日本ユニセフ協会/2014/tomoko shimamura, seiko ishikawa

©TAP PROJECT JAPAN/2014

©日本ユニセフ協会/2015/Maki Otani

清潔で安全な水が学校や家の近くで手に入るようになると、子どもたちは、汚れた水でおなかをこわしたり感染症や寄生虫病にかかったりすることがなくなり、病気で学校を欠席することも減ります。長い道のりを歩く水汲みからも解放され、学校に通い、遊び、子どもらしく過ごす時間が生まれます。ひとつの給水設備が、「子ども時代」を守り、子どもたちの未来を変える力を持っています。

TAP PROJECT JAPAN にご協力いただいた全てのみなさま、これまでのご支援に心より感謝申し上げます。

マダガスカルの子どもたちを取り巻く水と衛生環境には大きな改善が見られるものの、清潔で安全な水を手に入れられる場所は限られ、いまだに多くの小学校では水を使用することができません。この状況は、子どもたちが学校に通い、学ぶ機会を妨げています。TAP PROJECTに参加できなかった皆さまも、マダガスカルの「水と衛生」事業への募金を引き続き受け付けています。ご支援により、より多くの子どもたちを支援することが可能となります。
皆さまのご協力をよろしくお願いします。

オンラインでいますぐ募金

TAP PROJECT JAPANは、世界の子どもたちが「きれいな水」を手に入れられる未来をデザインの力で実現していく、日本ユニセフ協会と博報堂DYグループ有志による共同プロジェクトです。

2009年の「TAP TOKYO」開催から10年。プロジェクト最終年の今年も、8月31日(金)まで、レストラン・カフェなどの飲食店のみなさまに、無料で提供するお水やお茶に対して任意のご寄付を呼びかけていただきながら、世界が抱える水の問題を身近に感じていただく活動を実施します。

私たちが暮らす先進国では、「水」は水道の栓をひねるだけで簡単に出てきます。レストランやカフェでも当たり前に1杯のお水がサービスされます。しかしその一方で、世界では約3人にひとりが、汚染されていない飲み水を、自宅で必要な時に使用できない環境で暮らしています。2000年以降、数十億人が基本的な飲み水とトイレにアクセスできるようになりましたが、それらの安全性とアクセスまでの距離や人々が費やす時間の確保が重要な課題です。実際、気候変動の影響で干ばつや洪水の起きやすい地域で暮らす子どもたちへの水の安全が脅かされています。

TAP PROJECT JAPAN はユニセフの水と衛生事業を通じて子どもたちに清潔で安全な水を届けたいという願いのもと、8月31日(金)まで、日本全国のレストランやカフェのオーナーや従業員のみなさまにお店での募金活動を呼びかけます。普段は無料で提供するお水やお茶が、世界では決して当たり前のことではないという現実に思いをはせていただき、そのお水やお茶に、お客様から任意の募金をお願いする、ユニークな募金活動です。

参加方法

カフェ・レストラン、飲食店のみなさま

本サイトからポスター等の活動ツールをダウンロードいただき、お客様に募金を呼びかけてください。本年8月31日までのプロジェクト期間中であれば、1日だけ、1週間だけといった期間限定でのご参加も大歓迎です。
お店で集まった募金は活動終了後、日本ユニセフ協会へ郵便振替でご送金ください。
<ご送金締め切り:9月18日(火)>

・送金口座:ゆうちょ銀行00190-5-31000
・加入者名:公益財団法人日本ユニセフ協会
・通信欄に店名、住所、電話番号のほか、「TAP PROJECT JAPAN 2018」とご明記ください。
ご要望により無償提供できる募金箱をお配りしております。ご希望の方は、下記事務局までお問い合わせください。

マダガスカルの子どもたちを支援しています

TAP PROJECT JAPAN 2017を通じて寄せられた募金は、アフリカのマダガスカル共和国でユニセフが行う水と衛生事業の支援プロジェクトに役立てられ、子どもたちとその周辺の地域住民に、清潔で安全な水を届けています。 2008年から昨年までにTAP PROJECT JAPANを通じてお預かりした募金の総額は、総額3,890万円あまり。2017年は、計2,730,177円の募金をお寄せいただきました。(※1)

©UNICEF Madagascar/2017

マダガスカルでは、これまでに、ソーラーパワーや重力を利用して給水する簡易水道施設を学校や保健センターを含むコミュニティに5基設置したほか、47の小学校とコミュニティに対し、45ヵ所の井戸や給水施設、そして学校に142基のトイレが作られました。これらの活動により約24,782人の子どもたちと地域住民が、清潔で安全な水を飲むことができるようになりました。国全体でも、ゆるやかではありますが、改善された水源を利用する人の割合は2009年の41%から2015年の52%に増加しています。(※2)

1:2011年のTAP PROJECT JAPANは、東日本大震災緊急支援募金活動の一環として実施しました。
2:これらの活動には、TAP PROJECT JAPANを通じてお預かりした募金とともに、「ユニセフ・マダガスカル 水と衛生募金」にお寄せいただいた募金も活用させていただいています。マダガスカルの子どもたちへのご支援は、TAP PROJECT JAPAN終了後も、「ユニセフ・マダガスカル 水と衛生募金」を通じて呼びかけてまいります。

【お問い合わせ】

公益財団法人 日本ユニセフ協会
団体・企業事業部 TAP PROJECT担当宛
TEL:03-5789-2012
FAX:03-5789-2032
E-mail:tap@unicef.or.jp

ニューストップへ戻る